ITIL V3 認定試験の枠組みについてその1では、ITILV3認定スキームの主な特徴を以下のように3点紹介いたしました。
- クレジット制の導入
- 受験者が目指すキャリアに価値をおいた認定試験分類
- 認定試験シラバスにブルーム分類学の段階的学習の考えを適用
今回は、「受験者が目指すキャリアに価値をおいた認定試験分類」についてITプレナーズなりの解釈をまじえて説明したいと思います。
ITIL V3 の認定資格には、ファンデーションレベル、インターミディエイトレベル、ITIL エキスパート、ITILマスターの4種類があります。ITIL V3の認定試験の枠組みで特長的な点は、インターミディエイトレベルがモジュー構造となっていることではないでしょうか。
ITIL 公式サイト(http://www.itil-officialsite.com/Qualifications/ITILV3QualificationScheme.asp)にも、「インターミディエイトレベルはITIL認定資格の枠組みのコア」と説明されており、「モジュール構造は、受験者が興味を持つ、受験者個人の研修またはキャリアの志向をもとに特定のインターミディエイト認定を選択することができる」と記述されています。それでは、インターミディエイトレベルの認定試験には、どのようなモジュールがあるのでしょうか。
図 ITIL V3 認定試験分類

上の図から分かるように、インターミディエイトレベルは、二つの領域に分かれています。ライフサイクルシリーズ*とケイパビリティシリーズです。
ライフサイクルシリーズは「管理(マネジメント)」に、ケイパビリティシリーズは「プロセス」に焦点が当てられています。もう少し具体的な説明が、 APMGが2008年10月に公開している “ITIL® Service Management Practices V3 Qualification Scheme“に、以下のように記載されています。
「ライフサイクルシリーズは、サービスライフサイクルの文脈の中でV3のプラクティスの知識を得る。ライフサイクルシリーズの主焦点はライフサイクルそのものであり、ライフサイクル内で使われているプロセスやプラクティスの要素の活用、および質の高いサービスマネジメントを組織内で実現させるために必要とされる管理能力についての知識の習得である。」(p5)
「ケイパビリティシリーズは、V3で定義されているプロセスや役割を深いレベルで理解していることを証明したい人に興味がもたれるだろう。サービスライフサイクルはカリキュラムの一部として説明されているが、ケイパビリティシリーズの主焦点は、サービスライフライフサイクルを通してのプロセスの活動、実行、活用である。」(p5)
ライフサイクルシリーズには、ITIL V3 で定義されている5つのライフサイクルステージ毎の認定試験モジュールが用意されています。
- サービスストラテジ
- サービスデザイン
- サービストランジション
- サービスオペレーション
- 継続的サービス改善
ケイパビリティシリーズには、相互に関連の深いプロセスを4つの領域にわけ、領域毎に認定モジュール試験が用意されています。
- Service Offerings and Agreements SOA (サービス提案と合意)
- Planning, Protection and Optimization PPO (プランニング、プロテクション、および最適化)
- Release, Control and Validation RCV (リリース、コントロールおよび妥当性確認)
- Operation Support and Analysis OSA (運用サポートと分析)
少々乱暴にまとめると、ライルサイクルシリーズの認定試験は、ITサービス全体を管理、コントロールする立場にある方、またはITサービスマネジメント全体をハイレベルな観点から管理、コントロールする立場にある方向け、ケイパビリティシリーズの認定試験は、ITサービスマネジメントのプロセス設計や、実装されたプロセスを管理、コントロールする立場にある方向けと、なるのではないでしょうか。
ライフサイクル、ケイパビリティ両シリーズの認定試験の主焦点と各認定試験モジュールで扱われている範囲や深さを理解することは、受験者が目指すキャリアにあった認定資格の取得に役立ちます。
たとえば、現在はおもにサービスデスクでの一次サポートを担当していて、将来はサービスデスク全体のサービス改善や、サービスデスクの責任者を目指したい方であれば、次のようなアプローチが考えられます。まず、現在の業務に関係が深いケイパビリティシリーズのOSAモジュール認定を取得し、知識の体系化と専門家としてのスキルを習得します。その後、関連する領域での実践的で専門的なスキル習得を目指すのであれば、ケイパビリティシリーズのRCVモジュールを、サービスデスクの品質をライフサイクルの視点で管理、コントロールする知識やスキルを得たいと考えるのであれば、ライフサイクルシリーズのサービスオペレーションモジュールの認定試験取得を目指す、といったアプローチです。
ITIL エキスパートを目指す方は、必須取得の認定試験を含む総合計が22クレジットとなるように認定試験に合格しなければなりませんが、必要な領域の知識だけを深く習得したい、習得していることを証明したい、または、時間をかけて確実にステップアップしてきたい受験者の方には、インターミディエイトレベルの認定試験は柔軟な仕組みであり、「受験者が目指すキャリアに価値をおいた認定試験分類」となっているのではないでしょうか。
ITプレナーズでは、IT担当者の役割毎の推奨認定資格モデルを公開しています。詳細は、こちらのページでご確認いただけます。
*英語原文ではstream や seriesという単語が使われていますが、ここでの日本語訳は「シリーズ」に統一しました。